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歯を失ってしまったら
こんにちは!歯科医師の津田です。
2022年の歯科疾患実態調査によれば歯を失っている人の割合及び1人平均欠損歯数は、40歳以上75歳未満では減少傾向であったとあるものの、45〜50歳からは平均1本以上の歯の欠損を認め、それから急激に歯を失っていく傾向にあります。(下部表参考)
喪失歯所有者率(永久歯:15 歳以上)

1人平均喪失歯数(永久歯:15 歳以上)

また下の表は2018年に全国2,345の歯科医院で行われた全国抜歯原因調査結果です。
それによれば歯を失う原因で最も多かったのが「歯周病」(37%)で、以下「むし歯」(29%)、「破折」(18%)、「その他」、「埋伏歯」、「矯正」の順でした。このうち「破折」の多くは、外傷など物理的な原因によるものより「むし歯」が原因の破折が大半を占めています。よって歯を失う原因は「歯周病」と「むし歯」で80%を超えると考えられます。

今回は、歯を喪失した際に、失われた機能や見た目を回復する「欠損補綴」の種類とそれぞれの特徴について説明したいと思います。
現在、欠損補綴の種類は「ブリッジ治療」、「入れ歯治療」、「インプラント治療」、「自家歯牙移植」が通常提示されます。将来的には歯を萌出させる「再生治療」も選択肢になるかもしれません。
今回は現在選択肢としてあげられる、「ブリッジ治療」、「入れ歯治療」、「インプラント治療」のメリット・デメリットについて説明したいと思います。「自家歯牙移植」についてはまたの機会に説明させていただきます。
ブリッジ治療
一般に少数歯の欠損に対して用いる治療法の一種で、主に両側または片側の残存歯を支台歯として用い、これとポンティックと呼ばれる人工歯を連結部で結ぶことによって欠損部の機能を回復する治療方法です。



利点
・固定性のため違和感が少ない。
・いつも使っている歯ブラシやフロスを使い清掃することができます。
・自分の歯に近い感覚で噛むことが可能です。
・歯茎を切ったり骨を削ったりしないため、怖いと感じている方や病気をお持ちの方でも安心して治療 を受けることができます
・保険が適応されるため安価に治療可能です。(素材によっては保険が適応されません。)
欠点
・隣の歯を削る必要があります。
・支台となった歯には負担がかかります。
・人工歯の周りは汚れがつきやすいため、清掃に注意が必要です。
・支台の歯が悪くなると、連結していた歯にも影響が出てくる場合がある。
・白い歯にする場合は保険が適応されないため治療費が高価になる。
・支台の状態が悪いと出来ない場合がある。
・多数の欠損では適応できないことがある。
入れ歯治療
一般的に「入れ歯」と呼ばれる装置は「有床義歯」のことを指し、床と人工歯からなる取り外し可能な装置のことです。有床義歯には部分床義歯(部分入れ歯)と総義歯(総入れ歯)があり、部分入れ歯は1歯欠損から1歯残存まで欠損に使用される義歯の事を言い、全部床義歯は残存歯が全く無い場合に使用する義歯の事です。


利点
・歯を削る量は少ない。
・適応症が広い。多数歯欠損でも可能
・お手入れがしやすい
・修理・調整ができる
・保険適応の材料では比較的安価
・保険適応外ではバネが目立たないものもある
欠点
・違和感が強い
・バネが見える場合見た目が良くない
・食べ物が入れ歯と歯茎の間に挟まって不衛生になりやすい
・顎の骨がやせる場合がある
・硬いものを食べづらい
・取り外して清掃する必要がある
・嘔吐反射がおきる場合がある
・発音しづらい場合がある
・大きな装置では味や温度を感じにくくなる
入れ歯治療の詳しいお話はこちらからhttps://www.tsuda-dental.com/dentures/
インプラント治療
インプラントとは様々な分野で使われていますが、ここで言うインプラント治療とはむし歯や歯周病などで歯を喪失したあとに、チタン製あるいはチタン合金製の支柱を顎の骨に埋め込み、それを土台として歯を修復する治療に限定します。最新の統計では、日本でも30歳以上の成人において、50人に1〜2人が治療をうけている一般的な歯科治療法となっています。インプラントの生存率は10〜15年で90%以上と言われており、適切なケアとメンテナンスにより20年・30年以上使用できている報告も多数あります。



利点
・他の歯を削る必要がない。
・固定性なので違和感が少ない
・入れ歯と比べるとよく噛める
・他の歯に負担がかからないため他の歯の寿命が延びる
・見た目が綺麗
・骨があれば多数歯欠損にも可能
・顎の骨の吸収を抑えることができる
・入れ歯の支えにもなる
欠点
・保険適応でないため費用が高い
・治療に時間がかかる
・手術が必要である
・持病によってはできないことがある
・清掃不良やメンテナンス不備によりインプラント周囲炎を引き起こす場合がある
インプラントの詳しいお話はこちらから https://www.tsuda-dental.com/implant/
以上のように、いずれの欠損補綴治療においてもメリット・デメリットがあります。
欠損歯の数、欠損部の状態、残存歯の状態、対合歯の状態、患者様の希望、精神的状態、経済的状況、健康状態等を得るために様々な検査や問診を行い、しっかり話し合いを行って患者様に合った欠損補綴治療を決定しないと行けません。
歯がなくなってお困りの患者様がおられましたら、まずはお気楽にご相談ください。
ご相談はこちらから https://page.line.me/894oiswr?oat_content=url&openQrModal=true
日本補綴歯科学会 補綴歯科なんでも質問箱 https://hotetsu.com/p5.html