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マイオブレース治療を終えたA君の物語
「先生、このまま歯並びが悪くなりますか?」
小学2年生のAくんのお母さんは、少し心配そうな表情で来院されました。
Aくんはいつもお口がぽかんと開いていて、前歯も少し出始めていました。夜はいびきをかくことがあり、食事にも時間がかかります。
お母さんは「歯並びが悪くなりそうだから矯正が必要かもしれない」と考えていました。
しかし検査をすると、私たちが注目したのは歯並びだけではありませんでした。
舌の位置が低く、口呼吸の習慣があり、飲み込むときには唇やあごに力が入っています。
歯並びは結果であり、その背景には呼吸や舌の使い方、飲み込み方などの機能が関係していることがあります。
そこでAくんはマイオブレース治療を始めることになりました。
治療開始後の数か月は決して順調とは言えませんでした。
装置をつけ忘れる日もあります。
トレーニングを嫌がる日もあります。
お母さんも「ちゃんと続けられるでしょうか」と不安になりました。
それでも少しずつ習慣が身につき、半年ほど経つ頃には変化が見え始めました。
口が閉じている時間が増え、鼻呼吸が自然にできるようになりました。
食事の様子も変わり、姿勢も以前より安定してきました。
1年、2年と治療を続ける中で、お口の機能は少しずつ改善していきます。
そして2〜3年ほどかけて機能改善プログラムを終える頃には、歯並びにも良い変化が見られるようになりました。
実はここで治療が終わるわけではありません。
子どもの成長はまだ続いているからです。
私たちはその後も3か月ごとの定期検診で経過を確認します。
鼻呼吸や舌の位置が維持できているか。
後戻りが起きていないか。
永久歯が生えるスペースは十分に確保されているか。
必要があれば小さな調整を行いながら、成長を見守っていきます。
そして14歳前後。
すべての永久歯が生えそろい、咬み合わせも安定したところで治療は一区切りとなります。
治療終了の日、私たちは初診時の写真と現在の写真を並べて見ていただきます。
すると多くのご家族が驚かれます。
歯並びだけではありません。
口元の印象が変わり、顔貌が自然で美しく成長しているからです。
「こんなに変わったんですね」
「頑張って続けてよかったです」
そう言ってくださる保護者の方も少なくありません。
最初の2〜3年は確かに大変です。
しかし、その時期を乗り越えたお子さんは、その後の保定期間をとても穏やかに過ごせることが多いのです。
私たちが目指しているのは、単に歯を並べることではありません。
正しい呼吸、正しい舌の位置、正しい飲み込み方を身につけながら、成長期の力を活かして健康的な顔貌と歯並びを育てることです。
子どもたちが将来も自信を持って笑えるように。
その成長を長い時間をかけて見守ることが、私たちのマイオブレース治療です。
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